手に取った○○○メルコーンから妙な感触を感じた。
見るとそれが三椏に分かれていたのだ。

味は変わらず旨いし、その口解け感も砂糖が溶けるが如く、妙なるものだった。
しかし、ここに来て深刻な環境問題を意識せずにはいられない。
現在の新興諸国を襲う環境異状の恐怖は、日々紙面電面問わず伝えられている。
いや、電面においては、具体的な画像でそれを見る。
恐ろしい神々の罰として畸容の魔物が人間の世界に侵食し始めているのだ。

そして今、私の指に、三椏のアーチが。いや、それはアーチとはもはや呼べぬ。
古代ローマ式の石橋ではなく、インターチェンジのそれ!
三椏のアーチに失われた慟哭を聞いた、聖へのひたむきな謙虚を失った我々に対する。

私は恐怖に奮える指を宥めながら、その三椏のアーチを御神体として祀る紙を用意した。
呪詛を宥める文字が記され、引証のついた紙風呂敷の中へ備え、
神々に対する畏敬を忘れぬと誓った書簡を添え、
古式豊かな澱粉糊で硬く封印し、
それを如月の八日を意味する呪紋の刻まれた血染めの鉄管の中に納めたのである。

編集者の方に告ぐ。
我々は決して奢ってはならない。
繁栄と衰退の両極を行き来するこの寄る辺無き道にあって―

「朝に道を聞かば、夕に死すとも可なり」

JMPIF通信 投信より